TOP > 医療機器クラス分類
2014年11月の薬事法改正により、従来の『薬事法』が『医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律』に改称されました。ただしここでは便宜上「薬機法」と言います。
『この法律で「医療機器」とは、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう。』(薬機法第2条第4項)
また、「薬機法」では、人体に与えるリスクの程度によって医療機器を分類し、この分類によって規制を変える仕組みを取り入れています。この考え方に基づき全ての医療機器は、第2条第5項から7項により「一般医療機器」、「管理医療機器」、「高度管理医療機器」の3つに分類されています。
さらに日本における医療機器は、国際医療機器名称GMDN (Global Medical Device Nomenclature) を積極的に取り入れた日本医療機器名称JMDN (Japan Medical Device Nomenclature) が示されており、全ての医療機器はいずれかのJMDNに該当します。このJMDNの制定にあわせて、「一般医療機器」、「管理医療機器」、「高度管理医療機器」に対応した医療機器のクラス分類(クラスⅠ~Ⅳ)が厚生労働省から通知で示されています(薬食発第0720022号 平成16年7月20日 及び 薬食発0510第8号 平成25年5月10日)。このクラス分類は、医療機器規制国際整合化会議GHTF (Global Harmonization Task Force) において定められたクラス分類ルールが参考とされており、国際整合化が進められています。
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一般医療機器(クラスⅠ)
『この法律で「一般医療機器」とは、高度管理医療機器及び管理医療機器以外の医療機器であつて、副作用又は機能の障害が生じた場合においても、人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものをいう。』(薬機法第2条第7項)
一般医療機器はクラスⅠに分類され承認は必要としませんが、厚生労働省に対する届出が必要です。
また、厚生労働省が指定する一般医療機器は、製造工程で滅菌工程の入る医療機器を除き、QMS適合性調査の必要がありません。
*申請者は第3種医療機器製造販売業許可を取得している必要があります。
*一般医療機器の製造業者は医療機器製造業許可(外国の製造業者は、外国製造業者認定)が必要です。
管理医療機器(クラスⅡ)
『この法律で「管理医療機器」とは、高度管理医療機器以外の医療機器であつて、副作用又は機能の障害が生じた場合において人の生命及び健康に影響を与えるおそれがあることからその適切な管理が必要なものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものをいう。』(薬機法第2条第6項)
管理医療機器はクラスⅡに分類され、薬事法第23条の2第一項の規定による基準が定められた管理医療機器(指定管理医療機器という)は、第三者登録認証機関による認証を必要としますが、それ以外の管理医療機器は厚生労働省による承認が必要です。
2019年5月時点で、2,274品目の認証基準が定められています。
これらの認証基準に適合する場合には、第三者登録認証機関における認証申請の対象となります。
ただし、医療機器の形状、原理、使用方法及び操作方法若しくは性能が既存の医療機器と明らかに異なる場合は、認証基準は適用されず、承認申請の対象となります。
また、第三者登録認証機関に対して、認証申請と併せてQMS適合性調査申請も行い、医療機器製造所(製品の組立製造にかかるすべての製造所(外国製造業者を含む。)のQMS適合性調査についても第三者登録認証機関による監査を受けて、適合しなければ認証を取得することは出来ません。
*申請者は第2種医療機器製造販売業許可を取得している必要があります。
*管理医療機器の製造業者は医療機器製造業許可(外国の製造者は、外国製造業者認定)が必要です。
*製造業者に対してのQMS適合性調査は、PMDA、第三者認証機関、都道府県等によって行われます。
高度管理医療機器(クラスⅢ、Ⅳ)
『この法律で「高度管理医療機器」とは、医療機器であつて、副作用又は機能の障害が生じた場合(適正な使用目的に従い適正に使用された場合に限る。次項及び第7項において同じ。)において人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあることからその適切な管理が必要なものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものをいう。』(薬機法第2条第5項)
高度管理医療機器はリスクに応じてクラスⅢ及びⅣに分類され、厚生労働省による承認が必要です。ただし、平成26年11月に施行された医薬品医療機器等法においては、高度管理医療機器のうち「認証基準」が定められた医療機器等についても、この基準に適合する医療機器等については、その製造販売に当たって、登録認証機関の認証を受けなければならないこととされています。
*申請者は第1種医療機器製造販売業許可を取得している必要があります。
*高度管理医療機器の製造業者は医療機器製造業許可(外国の製造者は、外国製造業者認定)が必要です。
*製造業者に対してQMS適合性調査は、PMDA、 第三者認証機関、都道府県等によって行われます。
特定保守管理医療機器
『この法律で「特定保守管理医療機器」とは、医療機器のうち、保守点検、修理その他の管理に専門的な知識及び技能を必要とすることからその適正な管理が行われなければ疾病の診断、治療又は予防に重大な影響を与えるおそれがあるものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものをいう。』(薬機法第2条第8項)
さらに、「特定保守管理医療機器」の中で、設置にあたって組立てが必要であって、保険衛生上の危害の発生を防止するため、組み立てに係る管理が必要で、かつ厚生労働大臣が指定する医療機器を「設置管理医療機器」といいます。製造販売業者(MAH)は、設置管理医療機器の設置を行うための設置管理基準書を事前に作成し、販売・賃貸業者および修理業者へ交付する必要があります。
『設置に当たつて組立てが必要な特定保守管理医療機器であつて、保健衛生上の危害の発生を防止するために当該組立てに係る管理が必要なものとして厚生労働大臣が指定する医療機器(以下「設置管理医療機器」という。)の製造販売業者は、設置管理医療機器の品目ごとに、組立方法及び設置された設置管理医療機器の品質の確認方法について記載した文書(以下「設置管理基準書」という。)を作成しなければならない。』(薬機法施行規則第114条の55)
『設置管理医療機器の製造販売業者は、設置管理医療機器を医療機器の販売業者又は貸与業者(以下「販売業者等」という。)に販売し、授与し、又は貸与するときは、設置管理基準書を当該医療機器の販売業者等に交付しなければならない。』(薬機法施行規則第114条の55第2項)
日本における医療機器の申請区分およびクラス分類等は、下記の表1及び表2に示しました。
表1: 医療機器の分類医療機器分類 /Class |
リスクと医療機器例 | 許認可区分 | 審査機関 |
---|---|---|---|
一般医療機器 Class Ⅰ |
不具合が生じた場合でも、人体への影響が軽微であるもの。
分析装置においては、下記のクラスⅡ及びⅢ以外のものとする。 ※ただし、新検査項目、新測定原理、新たに自己検査用に移行するもの、新たな検査項目を測定する主たる反応系を内蔵する専用分析機器は大臣承認とし、承認の際にクラス分類を決定するものとする。 (例)体外診断用機器、鋼製小物、歯科技工用用品、X線フィルム、聴診器、水銀柱式血圧計 等 |
届出 | 自己認証 |
管理医療機器 Class Ⅱ |
人の生命の危険又は重大な機能障害に直結する可能性は低いもの。 分析装置においては、 ① 誤った診断結果が得られた場合に、人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある検査項目以外の検査項目を測定する自己検査用診断機器(当該診断機器による診断結果が医学的に重要な状態を確定しないもの、又は診断結果が暫定的で、適切な追加の検査によるフォローアップを必要とするものを含む。) ② 主たる反応系を内蔵する専用分析機器のうち、標準品の無いもの(クラスⅢ品目を除く。) (例)画像診断機器、造影剤注入装置、電子体温計、電子式血圧計、電子内視鏡、歯科用合金 等 |
承認または認証 | PMDA*1またはRCB*2 |
高度管理医療機器 Class Ⅲ |
不具合が生じた場合、人体への影響が大きいもの。 分析装置においては、 ① 誤った診断結果が得られた場合に、人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある検査項目を測定する自己検査用診断機器 ② 主たる反応系を内蔵する専用分析機器のうち、体外診断用医薬品で承認を必要とする検査項目を測定するもの (例)透析機器、人工骨頭、放射線治療機器、血管用ステント、胆管用ステント、体外式結石破砕装置、汎用輸液ポンプ 等 |
承認または認証 | PMDA*1またはRCB*2 |
高度管理医療機器 Class Ⅳ |
患者への侵襲性が高く、不具合が生じた場合、人の生命の危険に直結するおそれがあるもの (例)ペースメーカー、冠動脈ステント、吸収性縫合糸、人工乳房、ビデオ軟性血管鏡、中心静脈用カテーテル 等 |
承認 | PMDA*1 |
*2 RCB : 第三者登録認証機関 表2: 医療機器 承認のための申請区分
申請区分 | 区分概要 |
---|---|
新医療機器 (要臨床試験データ) |
「新医療機器」とは、既に製造販売の承認を受けている医療機器と(既承認医療機器)と 構造、使用方法、効能、効果又は性能が明らかに異なる医療機器をいう。 当該医療機器の安全性と効能を担保するためのGCP遵守の臨床試験データを添付しなくてはならない。 |
改良医療機器(1) (要臨床試験データ) |
「改良医療機器」とは、 「新医療機器等」又は 「後発医療機器」のいずれにも該当しない医療機器であり、すなわち、再審査の指示を受ける対象となるほどの新規性はないが既存の医療機器と構造、使用方法、効能、効果又は性能が実質的に同等ではないものをいう。 さらに、当該医療機器は下記事項に該当し、かつ臨床的安全性及び有効性を担保するためのGCP臨床試験データの添付を必要とする。 ※医療機器には適用できる承認基準がないか、承認基準の必要条件を満たしていない。 ※上記「新医療機器」に該当しない。 ※下記「後発医療機器」に該当しない。 ※当該医療機器の安全性と有効性を非臨床データのみで担保できない。 |
改良医療機器(2) (承認基準なし・臨床試験データ不要) |
上記「改良医療機器」であり、さらに当該医療機器は下記事項に該当し、かつ臨床的安全性及び有効性を担保するためのGCP臨床試験データの添付を必要としない。 ※医療機器には適用できる承認基準がないか、承認基準の必要条件を満たしていない。 ※上記「新医療機器」に該当しない。 ※下記「後発医療機器」に該当しない。 ※当該医療機器の安全性と有効性を非臨床データで担保できる。 |
後発医療機器(1) (承認基準なし・臨床試験データ不要) |
「後発医療機器」とは、既承認医療機器と構造、使用方法、効能、効果及び性能が同一性を有すると認められる医療機器であり、すなわち、既承認医療機器と構造、使用方法、効能、効果及び性能が実質的に同等であるものをいう。 さらに、当該医療機器は下記事項に該当し、かつ臨床的安全性及び有効性を担保するためのGCP臨床試験データの添付を必要としない。 ※医療機器には適用できる承認基準がないか、承認基準の必要条件を満たしていない。 ※上記「新医療機器」及び「改良医療機器」に該当しない。 ※当該医療機器の安全性と有効性が既承認医療機器と同一であるか、もしくは非臨床データで担保できる。 |
後発医療機器(2) (承認基準あり・臨床試験データ不要) |
上記「後発医療機器」であり、さらに当該医療機器は下記事項に該当し、かつ臨床的安全性及び有効性を担保するためのGCP臨床試験データの添付を必要としない。 ※医療機器には適用できる承認基準があり、承認基準の必要条件を満たしている。 ※上記「新医療機器」及び「改良医療機器」に該当しない。 ※当該医療機器の安全性と有効性が既承認医療機器と同一であるか、もしくは非臨床データで担保できる。 |